通訳ガイド当校合格者草野潤子さん
2013年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

通訳ガイドの資格は若い時からのあこがれでしたが、当時の合格率は2,3%で私には手が出ない高根の花でした。短大の英語科を卒業後、もっと英語力をつけたいと1年間オレゴン州ポートランドの大学に語学留学しました。帰国後は外資系の銀行での仕事に追われて勉強する余裕もなく、子育て中は英語を使う仕事とも縁が切れて、ガイド試験挑戦の夢は記憶の彼方に消えていました。両親の介護で仕事を辞め、何かやらなければと思っていた2年前に知り合いの方が合格し、その方から合格率も高くなったことを聞き、生涯学習のつもりで気長に勉強しようかと思いたちました。何年もかかることを覚悟していましたが、オリンピック開催決定という幸運と富士アカデミーの2次試験対策コースのおかげで、2回の受験で合格することができました。

1.1次試験英語対策

1次試験は全科目独学で何とかしようと思っていたので、まず過去問本を買って問題傾向を知ることにしました。全科目を一度に合格することは無理だと思っていたので、1年目は邦文科目合格を目指し、難関の英語は2年がかりで攻略する作戦でした。予想通り2012年度は英語は不合格でしたが、2013年度から半分がマークシートになることがわかったので、一番の悩みの種だった単語問題に時間をさかなくてもよくなったのはラッキーでした。ガイド試験は英検1級に比べると難解な単語はでないので、日本的事象の説明や英作文に力を入れました。新・英語で語る日本事情(ジャパンタイムズ)を音読して、試験によく出る日本的事象の説明を自分で書けるようにしたり、NHKゴガクルのサイトで'BEGIN Japanology'や'ニュースで英会話'の英文を勉強しました。

2.1次試験社会科対策

<日本地理>
旅行会社に勤務したこともあり、温泉好きでもあるので苦手意識はありませんでしたが、世界遺産や国立公園の知識が正確ではなかったので、友人から勧められた「なるほど知図帳日本」(昭文社)を買いました。この本は地図の他に城、祭り、産物などいろいろなデータが載っていて、見ているだけでも楽しいのでお勧めです。地図記号や等高線の問題もでるので、ネットで調べたりしました。

<日本歴史>
毎年大河ドラマは欠かさず見る歴女ではありますが、過去問を見ると仏像や建造物、文化財の知識が必要とわかりました。娘の高校の日本史B(山川出版)の教科書を2巡読み、時代ごとに人物や出来事をノートにまとめました。また、巻頭の文化財の名前や作者・所蔵場所を覚えました。

<一般常識>
一般常識はとにかく出題範囲が広く、普段興味がない政治・経済の問題も出題されるので、一番の難関でした。新聞をよく読み、経済や貿易・観光に関する記事をスクラップしました。2012年度はSNSや日本アカデミー賞についての問題も出題されたので、若者文化についての知識も必要と実感しました。

3.2次試験対策

1次試験合格発表から2次試験までは3週間ぐらいしかないので、それからでは間に合わないと思い、9月開始の富士アカデミーの2次試験対策コースに申し込みました。富士に決めた理由は1次の試験会場で配られたチラシを見て、1次試験の解答解説会に伺い知念先生のお人柄と富士アカデミーの雰囲気によるところが大きいです。
ふだん英語を話す機会がないので、ネイティブの先生に発音や文法のチェックをしてもらいたいと思いつつも、毎回2分間のスピーチなんてハードルが高いなぁと不安に感じながら初回の教室に入りました。担当はアメリカ人のデイビッド先生でした。デイビッド先生の授業はとてもエネルギッシュでジョークで生徒をリラックスさせてくれて、教室はいつも笑いであふれていました。最初に通訳練習があり、生徒の一人が日本語文を読み、別の生徒が英訳するのですが、お互いについゆっくりめに読んでしまいましたが、私の本番の試験では試験官がナチュラルスピードよりも速いくらいに日本語を読み、英訳も一分以内に終えて下さいと言われたので、この点は今年から考慮したほうがいいと思います。ただ問題文は授業でやっていたのよりずっと平坦な文だったので、あまり心配しないで大意をつかんでクイックリスポンスを心がければいいと思います。
2分間のスピーチ練習ではその日のテーマ5題の中の3題が書かれた紙を渡され、1題を選んで本番のようにスピーチします。私はいきなり2分間も話す会話力はないので、予習としてテーマの中で興味あるお題についてスピーチできるようにノートにまとめ、何度も読んで頭に入れました。でもやはりみんなの前ではあがってしまい予定通りにはいきませんでしたが、本番の予行演習としてはとても有意義だったと思います。デイビッド先生はひとりひとりにとても細かく指導をされ、話し方、文法、態度などを注意してくれました。熱心すぎて毎回オーバータイムになってしまうのですが、残業手当は出ないとジョークを言いながら最後の生徒まで時間をかけて指導してくださいました。私はいつも話し方が平坦でenthusiasmやgestureが足りないと言われていて、本番の試験でもスピーチは緊張して余裕がなかったのですが、質疑応答のときには結構リラックスして試験官との会話を楽しむことができたので、これも場数を踏んだおかげだと思います。

4.これから受験される方へのアドバイス

オリンピックの開催決定や外国人旅行者1000万人超で2013年度の英語の合格率は30%超でした。まさに今がチャンスだと思います。ガイド試験受験者は中高年が多いのですが、アニメやゲームなどの新しい日本文化に関する問題も多いので、最新の情報も知っておく必要があると思います。私の試験の通訳問題が秋葉原に関するもので、問題文を聞いた時には予想外で苦手意識が先に立ちました。ジェネレーションギャップを越えて広くいろいろなことに興味を持つことが大切だと思います。

5.富士のよかったところ

富士アカデミーはとてもアトホームな学校で、少人数授業なので生徒同士も顔見知りになりやすく、リラックスして授業を受けられました。お世話になったデイビッド先生は2次試験直前セミナーの最後の授業の後、ひとりひとりと握手して"Good luck on your test. See you at the party"と送りだしてくれました。事務局のみなさんも試験直前に予想問題の資料を配ってくれるなど、細かい配慮でサポートしてくださいました。2013年度から2次試験の形式が変わったので不安がいっぱいだったのですが、富士アカデミーのおかげで1度で2次試験を突破することができました。
また英語のウォーキングツアーや新人ガイド研修など合格後もフォローしてくれるプログラムがあり、ガイドとしての力をUpしていく上で心強い味方になってくれると思います。本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。