通訳ガイド当校合格者熊崎清治さん
2014年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

富士通訳アカデミーに入学したのは、定年退職した1年後でした。定年前からあった、これまでの仕事とは異なる自分のペースでできる仕事をしたいとの思いで、退職し1年間、求職活動をしたものの、適職は見つかりませんでした。何か目に見える特技などがないと、自分を売り込むことは難しいことを強く感じた次第でした。そして今の自分ができるかも知れないことを考えたとき、業務の内容について良く理解していませんでしたが、先輩からお話を聞いたことがあった通訳案内士に思い至り通訳案内士試験に挑戦することに決めました。英語に関しては、会社員時代は10年間の海外勤務を含め、国際部門と海外業務関係の管理部門勤務であっため、英語には若い時から業務上長き付き合いでしたが、決して格好良い国際ビジネスマンの英語とは言えるものではなく、現地監督当局や取引関連先との会合などを何とかこなしていた程度でした。ただ、現地人部下との意思疎通に関しては、表面的な遣り取りに終わるのでなく、心底、感情面を含めて互いに理解し合えるように、英語という非母国語を通して悪戦苦闘してきました。

1.1次試験英語対策

英語の1次試験は日本の文化を題材にした少し観念的な文章や日本の習慣・行事などの説明に慣れることが重要です。
少し観念的な文章は、毎回の授業用に事前に配布される「精読用英文」を丁寧に予習し、授業の解説を繰り返し聞き、復習するプロセスを繰り返すことにより慣れてきました。このレベルの文章になれていけば、本番の通訳ガイド試験でも怖いものなしという感じでした。なお、日本の習慣・行事に関しても資料が配布されて、毎回の授業の量をこなせば対応できました。どんな英語学習にもネックになるのが語彙と思いますが、実際、毎回宿題となる、「単語・熟語集」から出る単語50語と熟語50句を覚えて授業に臨むのは非常につらい課題でした。それを補助するため、約2000組の英単語と対応する日本語を吹き込んだ学校から提供されたCDをICレコーダに取り込み、電車の中、散歩中に繰り返し聴き続けました。これは良かったと思います。英語単語の発音、語感に親しめ、その後の英語学習全般に良い効果があるように思います。

2.1次試験社会科対策

日本地理は日ごろから新聞・テレビを見ている中で、自然に身に付いている部分が大きいのではないかと思います。
学校の小冊子と地理白地図帳を良く見ました。それで十分の様な気がします。日本歴史は1年目には十分対応できず不合格でした。翌年度に教材の山川日本史教科書に早い段階から辞典も活用しながら徹底的に取組み、歴史上の政治経済体制、人物、文化を体系的に理解できたように思います。前年度の失敗は非常に良いチャンスを与えてくれました。感謝、感謝です。一般常識は小冊子以外にどのように取り組めば良いか難しい分野です。とにかく新聞、テレビなどのニュースに関心を持って、分からないことは調べるなどして、雑学を積み上げるしか無いのかも知れません。ただ、一般常識と言っても、地理や歴史と関連した問題も多いので、地理や近現代史を学習すると付随的についてくる面があるのではないでしょうか。

3.2次試験対策

2次面接対策は時間的な余裕があれば、英文精読などの授業と並行して、早い段階から進めた方が自分の弱点の理解、その対策のためには良いのではないでしょか。通訳問題、2分間プレゼンテーションに慣れるには時間がかかりました。
通訳問題に関しては、「通訳ガイド国家試験受験対策コース」の小テストにある英作文が良い訓練になりましたが、日本語、英語とも、音を通してだけの日本語・英語処理のため、どのように学習すればよいのか迷い続けました。本試験では文頭の日本語につまずき、日本文全体を十分に聞き取れず、英訳を進めていると日本文自体が不確かになるという苦しい状況に陥りました。通訳問題は英語表現方法の練習に集中する前に、日本語の文章を確り聞き取り、記憶する術を身に付けることが大切のように感じました。この点は現在も不完全なままです。2分間プレゼンテーションの対策としては、テーマ毎のプレゼンテーションの模範文章をできるだけ多く覚えるというやり方で取り組んでいましたが、今から思えば、必要なステップであったかも知れませんが、英語表現をそのまま丸暗記するという事でなく、まずは日本語で、どのようなテーマがあり得るのか、その内容はどうあるべきかを確り検討することがまずは重要でないかと思うようになりました。そして、その結果を英語でプレゼンテーションし、採点していただくのが、長い目で見て本試験への対策として有効であるように感じています。この点は十分には対応できませんでした。なお、2次面接試験のプレゼンテーションは内容の正確性に劣らず、2分間でひとつの事柄を声に出して相手に伝えるという姿勢・役割そのものについても、その内容と同程度に訓練することが重要であることを忘れてはいけないと思います。実際、先生からこの点に関する注意を繰り返し受けました。姿勢、目線、声の大きさ、話に行き詰りそうになっても、違う表現で打開することなど尽きません。また、自宅でのプレゼンテーション練習の声をICレコーダに録音し、話すスピード、発音、語数、段落数、表現などの試行錯誤を重ねました。自分の声を聞いて見ると思うところがいろいろ出てきます。なぜ自分は2分間でこんなに少しのことしか言えないのか、語数が少ないのか。それが現実ならば、少ない語数でひとつの話としてまとめるにはどうするのか。そこで得た試験に臨む姿勢は、自分を不安にさせない、自分の頭の中ですんなり整理できる程度の、欲張らないやり方しかないということでした。現状では2分間プレゼテーションの段落は3段落、語数は150語前後、やさしいセンテンスの枠組みで、学校で毎回取り上げるテーマに関して練習を重ねました。この練習は文章の構成・センテンス作りにとって良かったと思っています。ただ、欲を言えば、面接試験で出題されるテーマに対して、漏れなく準備し、覚えるのは難しいわけですから、本番の試験で思いもよらないテーマばかりが出題されたときに、どのように対処するかの練習をしておくべきだったと反省しています。この点は2次試験直前セミナーでも訓練機会がありましたが、初期の段階から日本語を使ってでも良いから練習しておくと、試験のときの力になると思います。

4.これから受験される方へのアドバイス

基本は学校の教材を徹底的にこなすということが、試験合格の近道と思います。通訳案内士試験に向けてどれだけ時間を割くことができるかは、各受講生の事情によりばらつきはありますので、当たり前な言い方になりますが、教材に軽重を付けて自分に合ったやり方で諦めず、練習を継続できれば良いのではないでしょうか。また、通訳案内士試験に合格と言う目標に向かってまっしぐらとは言う一方、やはり英語学習を楽しむという気持ちをもって、日々の学習を進めたいものです。

5.富士のよかったところ

英文精読の文章の選択が良い。毎回日本の社会、文化についての格調高い文章を丁寧に読み下していく練習は、文法力の強化、解釈力を付ける訓練になった。直接的にプレゼンテーション力や会話力を向上させるとは言えないのかも知れないが、英語の基礎力を強固にし、次の飛躍に結び付く、地道な忍耐強いプロセスであると高く評価できると思う。なかなかできるものではない。また、毎授業毎に実施される、英語基礎力向上策としての英単語テストも長い目で見て、英語の基盤強化に役立った。また、英語語彙の確認・増強を習慣化できたことは、非常にありがたい。身に付いた貴重な財産であり、今後とも大切にしたい。日本事象に関する英単語、説明文の事例も豊富に提供され、試験対策の資料に困ることは無い。
2次面接試験対策講座が年間を通して開かれており、途切れることなく訓練を続けられる体制になっていることは、自分のプレゼンテーションの問題点の発見や、対策の試行錯誤にじっくり取り組め、試験準備として有効であった。 何より丁寧な指導が何よりのお薦めである。