茨城県の常陸太田市に生まれ、高校まで地元の学校に通いました。高校1年の時に母校が米国カリフォルニア州のサンタバーバラにあるドスプエブロス高校と姉妹校になり、約1ヶ月間ホームステイしました。この時から海外への漠然とした憧れのようなものを持ち、また、英語も好きな科目の1つとなりました。大学時代は法学部ではありましたが、専攻は国際法でしたので英語の文献等を読むことにはそれほど苦痛を感じなくなりました。
大学卒業後、化学メーカーに就職し、入社後約6年間合成樹脂の国内営業、2年間の労働組合専従を経て入社9年目から現在にいたるまで合成ゴムのマーケティング及び輸出を担当し、年に4回程度海外出張しています。この間、輸出業務に必要な貿易実務知識を習得するために商業英語検定のA級を取得し、TOIECも910点までスコアを伸ばしました。
仕事が面白く夢中になっている間に40歳になってしまいました。仕事を進める上での必要から韓国語、中国語等も習いましたが、宴会の席の話はともかくビジネスで使えるレベルの外国語は英語だけでした。そこで、継続して英語を勉強してきた証として、英語関係の唯一の国家試験で難易度が高い本試験に挑戦することと致しました。どうせ挑戦するなら早期合格を果たしたいと思い「富士通訳ガイドアカデミー」にお世話になることにしました。
仕事の都合で土曜日の午後集中コースに参加しました。私にとって18年ぶりの学校でしたので、若い人達に混じって勉強できるのは非常に刺激的で楽しいものでした。英文解釈の講義、小テスト等はそのまま本試験に直結する内容でした。特に私にとってありがたかったのは5月、6月の公開摸擬試験でした。富士の摸擬試験は本番とほぼ同等の難易度だと思いますが、自分の強みと弱みが明確になりました。強みは英文和訳(5月には8割強の得点、6月には9割強)、弱みは時事単語(2回とも3割の得点)、英作文はまずまず(2回とも7割の得点)という結果でしたので、6月は時事単語集の暗記に精力の9割を注ぎ込み、その他については小テストの復習、1月から6月までの摸擬試験の復習(私は4月生でしたが、1月、2月、3月の校内摸擬試験の問題と解答例も戴きました)のみ行いました。試験前には時事単語集は95%程度暗記できたと思います。また、例年、ウニ、辛子明太子といった食材が1問出るので食材については自分でまとめ、補強しました。
−1次試験本番−
まず、忘れないうちにと思い時事単語から解答していきました。10問中4問は時事単語集から、また1問は準備していた食材リストからそのまま解答できました。残り5問はぴたりとした解答が思いつかず、説明型で解答しました。配点が1問2点でしたので時事問題に勉強時間に割いたのは作戦として正しかったと思います。摸擬試験と同じ3問の正解では失点が14点となり、合格ラインを70点とすれば、あと16点分しか誤答が許されなかったからです。
英作文の内1問は富士の小テストに出た「保険制度」に近い内容でした。また、英文和訳も昨年、一昨年の問題と比較すると易しかったのではないでしょうか。
富士アカデミーの模範解答を参考に自己採点すると「77点±5点くらいかなー」といった感触でした。
1次試験合格の通知を受けてから、早速2次対策セミナーに参加しました。私のような中高年にとって最大の難関は2次試験です。若い女性の流暢でかつnativeに近い発音を聞くと「彼女は帰国子女に違いない。茨城県で独習した私にはとても真似できない。」と思いました。また、摸擬面接では、「冠詞の使い方が間違っている」「単数・複数が明確にされていない」等の欠点を頻繁に指摘されました。1次試験合格通知から2次試験まで3週間くらいしかありません。私は今更3週間で弱点(発音、冠詞、単数・複数等)の矯正は無理とギブアップし、次の2点のみを自分のチェックポイントとして摸擬面接を受けました。
- 自信があるようにみせる−その為に明るく、大きな声で、ゆっくり話す
- 自分の経験に基づき個性的な回答をする
1 はブラウン先生のアドバイスです。早口でまくし立てるように話すよりは、会話が切れずクイック・リスポンスであるかぎりは、ゆっくり話した方が中高年の受験生には良いのではないでしょうか。相手も解りやすいし、自分も慌てず考えを纏められるからです。
2 試験官も同じような質問をし、同じような回答ばかり聞いていることと思います。もし個性的な回答ができれば、試験官への印象は良くなるのではないかと考えました。
−2次試験本番−
第1問−若者の流行についての質問…長距離通勤者(茨城の牛久から霞ヶ関まで通勤)の私には、テレビを見る時間がそんなにありません。流行に弱くトンチンカンな回答しかできませんでした。完全に×で出鼻を挫かれました。
第2問−空手の説明、空手と合気道の違い…これもあまり上手く説明できず△でした。 この2問が終わった時点で開き直りました。「こうなったら、これからは自分の好きなように話すぞ!」
第3問−近頃の近隣諸国と日本の関係について…ブラウン先生が「教科書問題が出る」と山をかけられましたので、「韓国・中国は日本の内政問題に干渉するな!」という趣旨の回答を準備していました。しかし、自分でも意外に「政府間ではギクシャクしているが、双方の国民レベルではそんな大きな問題になっていない。韓国に出張した時に地元の商社、お客さんに聞いてみると彼らは、日本と韓国は利害関係を共有しており、お互いの為に良好な日韓関係が必要不可欠であると思っている。」という趣旨の回答をしました。このあたりから調子に乗り、以下アジア出張での思い出等についての会話を楽しみました。
第4問−日本の文化で興味を持っていることについて…これは謡曲と回答しました。趣味は観世流謡曲ですので、これは私の得意なトピックです。謡曲の一般的な説明の後、謡曲の魅力について話しました。試験官のベテラン男性通訳の方が「謡曲は腹から声を出すので健康に良い。」と話を盛り上げてくれました。「第1問、第2問の失敗が痛かったが、後半2問は私の作戦どおり個性的な回答を堂々と言えたかな」というのが試験終了後の印象です。合否については1次合格者の半分近くが不合格になることを考えるとなんとも言えない状況だと思いました。
日本史、日本地理、一般常識ともに富士の3次対策プリントはコンパクトに要点がまとめられており、大変参考になりました。この他日本史については山川出版の高校教科書を1回読み、地理については観光地理を5回読みました。時事問題は富士の3次対策プリントのみです。後は過去問を解けば十分だと思います。(これだけで地理、歴史、一般常識2は9割程度、一般常識1は5〜6割程度正解できました。)
出題傾向を分析し尽くした知念先生の指導に従って、本番試験に即した問題を時間内に解答していく訓練を続けて行けば、各受験生のバックグラウンドの差によって遅い早いはあると思いますが、必ず合格できる実力を身につけることができると思います。そして、最後は「絶対合格するぞ!」という執念が大切だと思います。
私にとっての合否の分かれ目は2次試験でした。第1問、第2問の失敗の後、諦めず開き直れたことが、今思うと良かったのだと思います。
- 2次試験対策セミナー
一次合格発表後、毎日夜7:00〜9:00まで2次試験対策セミナーが開かれます。この摸擬面接が非常に良い訓練になりました。恐らく摸擬面接を受けたかどうかで本番のあがり具合も全然違うのではないでしょうか。仕事の都合で8:00過ぎからの参加の日が多かったですが、遅刻もお許し戴いて2日に1回は参加しました。受講生が多い日は全受講生が摸擬面接を受けられるように9:30近くまで授業が延長され、受講生本位の運営に頭が下がりました。(通常であればアルコールで脳細胞を休息させる時間帯でしたので、セミナー期間中は頭が冴えに冴え、なかなか寝付けなかったことが今では懐かしい思い出です。)一緒に受講した方はハードな時間を共有した戦友のようなものです。2次試験、3次試験の会場で戦友と話ができると気持ちが落ち着きます。
- 摸擬試験
前述の通り自分の強み、弱みを把握する上で非常に参考になります。摸擬試験を数回受けれ ば、解答要領も自然と身につくと思います。
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