
将来は外国へ行きたいと大学で英文学を専攻し、英会話クラブに入り、4年生の時英検1級に合格した。次は通訳ガイドの試験と意気込んでいたが、試験問題の中には食前・食中・食後にどんな酒を飲むか、というような問題が出るので、社会経験をしてから受けた方が良さそうだとおもっていたら、そのまま30数年経った。就職し外国へ出張することもあったが、ここ10年は仕事で英語が必要な場面はほとんど無くたまに社内資料を英訳するくらいだった。
5年ほど前から定年後何をしようかと考え始めた。一層今の仕事と関係の無い、英語を使う仕事かボランティア活動でもやりたいと思い始めた。それには英語力をつけなくてはならない、英語の資格があった方が良さそうだ、そうだ昔の夢である通訳ガイド試験を受けたいという欲望が強くなった。それから2年間程ビジネス英作文、ボキャブラリーを増やす通信教育を受けたが、マイペースで勉強できる反面、自己流になってしまった。このままでは通訳ガイド試験に合格することは不可能と感じたので、仕事を続けながら受講できる富士ACの夜間コースに2001年11月に入学した。

1年目は、教材である精読用英文テキスト、単語熟語集、時事単語集の毎回分の予習、暗記に努めた。しかし、精読用英文はEconomist、TIMEなどから旬の記事を引用しているので、英文は難しく、その内容も世界の政治、経済、文化、科学等と多岐に渡っているので、辞書を引きノートに自分なりの日本語訳を書いて授業に臨んでも、知念先生の解説、模範訳を聞くと自分の訳があまりにも惨めに感じることが度々だった。この精読用英文解釈は、英文法、日本語への訳し方、単語の意味、記事の内容を知る上で大変役に立った。
毎回の授業で小テストが出される。その中に英作文が1題出る。テスト終了後すぐに解答の解説があり、必ず3通りの解答例が用意されていた。これも大いに役立った。
週2回学校に通い、教材を中心に勉強していたが、1次試験は難しくて歯が立たなかった。2年目も週2回夜間コースで受講した。そのうちに前年と同じ勉強の仕方を踏襲していたのではマンネリになりそうだったので、授業に出るのは週一回に減らして、その時間を家での学習時間に当てた。
毎朝日本語の新聞を30分読み、夜は英語の新聞(Japan Times)を30〜60分電子辞書を引きながら読んだ。両方の新聞を読んでいると英語と日本語の表現がどちらからも分かるようになってきた。また読んでいる記事の中に単語・熟語集や時事単語集で覚えた(あるいは見た)単語が多く出てきて、なるほどこの単語はこんな使われ方をするのだと納得できた。単語や熟語を暗記するのが下手だったのでできるだけ多くの英文を読む努力をした。
試験1ヶ月前位から単語・熟語については、覚え切れていないものを中心に復習した。時事単語は試験前までに3回復習して、英語と日本語を書きながら覚える努力をした。
直前の2週間は、富士ACの模試で出された英作文過去問題集33題をノートに書いて、解答例を見ながら自分の間違いを直しながら表現を覚えた。この中には日本政府の国際観光推進に関する問題が半分位入っていた。2003年度の本番1次試験の英作文問題はこれと同じテーマの問題が出されたが、表現方法・用語がそのまま使えたので楽に解答できた。
1次試験問題の解答に着手する順番は、私の場合はまず英作文から着手する。その訳は英作文は自分流に書けるからである。その次に時事単語、日本事象の外国人への説明に着手する。残りは英文を読んで設問に答える問題が3題あるが、易しそうな問題から着手する。2003年は最初の問題が一番難しかったので、1番から順番に解いていたら時間切れになっていただろう。解答の順番は普段のテストで経験して自分に一番合った方法を見つけたら良いと思う。

私はここ何年も英語で会話していないので2次試験が最大の難関だった。1次試験終了後、2次対策授業に出席していなかったし、2次対策テキストも勉強していなかった。何となく1次試験も通っていないのに2次試験の勉強をやる気がしなかったからである。知念先生から合格の通知を戴いた際、2次対策セミナーは毎日午前、午後、夜間とやるので、ともかく来て下さい、と誘いがあった。
2次対策セミナーに出席したら、外人の先生と10人位の生徒の小クラスだった。先生が順番に日本社会の特質に関する質問をすると周りの人は流暢に答えていたが、私は質問されてもどう答えて良いか分からなかったし、また英語もうまく話せなかった。出席している生徒の中で一番の劣等生だった。これではとても2次試験には受からない、なんとかせねばと思い、次の方針に沿って勉強した。富士ACのセミナーに毎日出席する。2次対策テキストと市販本(「英語で語る日本事情」)を活用して日本文化・社会習慣・芸能・食事を何とか説明できるようにする。2次対策セミナーは外人の先生が交代で授業に当たられたが、教え方にそれぞれ個性があり、また話す英語が少しずつ違い為になった。私は長く英語で話していないので、文法の間違いに関係なく、話をさせてくれる先生が好きだった。ともかく、口から英語が出てこなければ、2次試験は絶望的である。
更に、知念先生から戴いた励ましの言葉の中に、英語がスムーズに口から出てくるように毎日英語の文章を音読した方が良い、と書いてあった。そこで英字新聞を声に出して読み、市販本に付いていたCDを聞きながら、シャドウイングを最後の2週間位行った。この方法のお陰で試験直前には何とか英語で色々なことが説明できるようになってきた。2次試験までに勉強時間が足りなかったので、夏休みを2週間取り、セミナーへの出席と自宅学習に当てた。この時間は今振り返ると大変貴重だった。
2次試験の面接の心構えとして、知念先生から、決して格調の高い表現で話そうと思うな、自分が使い慣れた表現で話せ、と教わり、その通り実行した。本番の5分間は、とにかく質問に答えるのが精一杯で、後で振り返ってみるとひどい英語を使って話したようだった。それでも一生懸命話したので通じたのだろうと思っている。

2次試験が終わってから3次試験まで約1ヶ月間しか時間がない。試験結果を待ってから準備に取りかかるのでは遅すぎる。今度は2次試験の轍は踏めない。
そこで、取り敢えず中学生用の歴史と地理の参考書を買ってきた。富士ACの3次対策セミナーに出席し、山中先生から色々なテキストを戴いて、過去6年間の3次試験問題の解答解説を聞き、如何に自分の知識が無いか自覚させられた。ともかく、覚えるしかないので、富士ACのテキストを勉強する。中学生用の歴史と地理の参考書を読むことにした。国立公園、国定公園、山、川、平野、岬、日本の世界遺産リストなどは、少し大きめの日本地図図鑑で地図上の場所を当たった。この勉強は面白かったが時間がかかった。歴史は高校の教科書レベルの内容が出るのでよく準備した方が良い。時間がないからと言って中学生用の参考書だけを使用したが、無謀だった気がする。
試験本番まで時間がなかったのに加えて、9月末で定年になり行事や書類の提出が重なった。3次対策セミナーの席で、定年なので忙しくて勉強時間がとれないと隣の女性に話したら、皆さん忙しい中何とか時間を割いて勉強に来ていると言われ、暗に「甘えているんじゃないわよ」と言われた気がした。それ以来できるだけ勉強のために時間を割くようにした。
3次試験本番で、温泉の温度、日本人の海外出国者数、外国人の入国者数などの問題が出たが、このデータは3次対策セミナーで山中先生から教えて貰ったものだった。
過去から何回も出た日本の都市の月別平均気温と平均雨量は理科年表に当たって予習した方が良い。私の場合は準備を忘れて、悔しい思いをした。

2003年度通訳ガイド試験の英語受験者は約4,500人で合格者は204名(4.5%)であり、大変厳しい試験です。また、7月の1次試験で始まり、最終合格者の発表は12月中頃で、大変長丁場の試験です。従って、如何に気力を保ち続けることができるかが大切だと思います。私の場合は一人ではすぐ怠け癖が出てしまうので、学校に入りました。毎回学校に通うことで新しい知識と共に、先生や周りの人々から刺激を受けました。
それが推進力となったので、この2年間続けて来られたのだと思います。英語の知識・能力は既に十分にお持ちの方でもガイド試験対策となるとまた別の知識が必要となります。私の場合は周りにその辺のことを教えてくれる人がいなかったので、その役割を富士ACに求めました。

私が富士アカデミーを選んだのは、場所が都心にあり、会社と家から便利な場所にある点でした。仕事が終わってから夜間コースに通っていたが、通学時間が短いことは大きなメリットでした。
1次対策の精読用英文テキストは、最近の記事を抜粋した手作りなので内容が新鮮で、その内容を知念先生が解説してくれるので、単に英文テキストと言うよりニュースの解説のようで英文解釈と同時に社会情勢を知る上で大変為になった。
2次対策セミナーは、少人数編成のクラスなので外人講師との会話が多くなり、気を抜いている暇が無いくらい集中できた。また、ほぼ毎日午前・午後・夕方クラスが設定されており、自分の都合に合わせて好きなクラスの出ることができたのも良かった。授業はすべて録音されているので、欠席した時はテープを借りて勉強することができたので、助かった。
試験前には必ず印刷した励ましの言葉を戴いた。そのタイムリーな励ましにずいぶん勇気づけられた。また合格者の体験談、それを印刷した小冊子などを時々戴き、勉強が進まない時や気分的に落ち込んでいる時などはずいぶん励みになった。
富士アカデミーは小規模な学校ですが、その分細かい気配りをしてくれるので、通訳ガイド試験に必要な知識・勉強の仕方など必要なことが得られるところだと思います。私の場合は2年間通って、その結果試験に合格できました。
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