
私は、現在、地方公務員をしています。就職後ほどなくExpo’90(大阪花と緑の博覧会協会)に派遣され、半年間、海外VIPの会場での案内を担当し、様々な国の賓客を案内し、とても貴重な経験をさせていただきました。
また、国際交流を担当する部署に所属し、姉妹都市からの来訪者の案内で何度か通訳ガイドの真似事をするうちに、来訪者からの日本についての意外な質問に目を白黒、答えに窮することもしばしばでした。同時に、訪問されるお客さんが自国の政治、社会、文化について豊富な知識をもち、具体的にデータをあげて話をされる姿を見て感心し、自分ももっと日本について知りたい、上手に説明できるようになりたいと思ったのが、もともとの通訳ガイド試験の受験の動機でした。
しかし、その部署では他の仕事も多く兼任していたので、アテンドの仕事は数えるほどしかなく、時たまあるアテンドや通訳のための英語力を維持するのが難しいぐらいでした。 異動後は、英語とは無縁の部署で、仕事上で英語を使うことはなくなりましたが、学生時代から英語は好きでしたので、NHKのラジオ・テレビの番組と週1回の英会話サークルなどで英語の勉強は細々と続けていました。

■英語
大阪校は月に一回の日曜集中授業でしたが、授業時間はなんと1日6時間でした。最初は、とても大変だなあと思ったのですが、毎回6時間があっという間に過ぎていきました。単に講義を聞いているだけの受身の授業ではなく、精読用英文の訳を発表したり、教室で30分間小テストに取り組んだりと参加型中心の授業なので、適度な緊張感とともにテンポよく進んでいくのです。英語、社会科とも小テストや模試の直後に解説してもらえるため、疑問点が鮮明なうちに解決できて記憶に定着しやすく、効果が高かったと思います。
精読用英文は、ノートに訳を書いてから授業に臨み、先生の解説を聞きながら赤ペンで添削をしました。格調高い精読用英文は、1文が長くて構文や文法事項が複雑に絡まり合っているものが多かったので、毎回の授業で質問してなるべく疑問点を残さないようにしました。
英作文は、毎回の授業で回答し、ネイティブチェックを受けて次の授業で返却してもらうシステムでしたが、構文や単語の使い方に自分なりの癖があり、模範解答どおりにはなかなか書けないので、自分の英文を個々に添削してもらえるのはとてもありがたかったです。
単語・熟語に関しては、すべてのテキストを勉強するのは時間的に厳しかったので、必須「時事単語」だけは2次対策も兼ねて完璧に覚えようと、いつもコピーを持ち歩いてお昼休みや学校に通う電車の中などの細切れ時間を利用しました。また、テキストの中の関連した単語の番号を書き込み(類義語→See 15、反意語⇔See 29など)、なるべくグループ化して覚えるようにしました。また、小テストや模試、自分で見つけた単語も関連づけてテキストに書き込んでいきました。
富士アカデミーの教材以外では、ニュース英語に慣れるため、6月からメルマガ「1日1分!英字新聞」をほぼ毎日読み、試験直前の1ヶ月は英文を見ながら口頭で訳を言うようにしました。
1次試験直前は、整理の期間が必要だと思い、試験1ヶ月前から、模試と小テストの間違えた箇所を中心に復習し、2週間前からは英作文演習のプリントを1日2問ずつ解くようにしました。大阪校は5月開校だったため、「必須時事単語集」も8月の最終の単語コンテスト後に残った範囲がまだだいぶありましたので、とにかく1次試験までに終わらせようと毎日学習しました。過去問題はギリギリになってしまいましたが、3年分を見直しました。 富士アカデミーの模試は、量が多く内容も難しかったので、本試験の英文がずいぶん易しく感じられましたが、英文が理解しやすいだけに、今まで以上にこなれた自然な日本語の表現力が求められていて、それによって差がつくように感じられました。
■社会
社会科では、過去問題(5年分)と模擬試験の問題で間違えた箇所を中心に勉強しました。かゆいところに手が届くような詳しい解説のプリント(歴史は教科書の出典ページまで書いてくれている)をいただけますので、間違えた箇所は、解説を読んで、白地図や山川の教科書で確認するようにしました。
地理は、まず都道府県と県庁所在地の名前と位置から始めました。国立・国定公園の名前はカードに書いて、白地図で場所を確認しながら覚えました。模試で出くわすあやふやな地名、山、川などは必ず地図で確認するように心がけました。
地理の暗記は学生時代から苦手でしたが、これまでに旅行したことのある場所や地名を思い出しながら、その周辺地域を地図(旅に出たくなる地図)を見て関連付けて覚えるようにすると比較的楽しく勉強をすすめられました。
歴史は、学生時代比較的得意科目ではありましたが、細かい部分は忘れてしまっているので、小学生向けの歴史漫画をざっと読んで流れをつかんでから、山川日本史教科書を通読(脚注まで)しました。
テキストの年表や重要事項のまとめも利用し、余白部分に間違えた問題の自分なりのまとめや参考情報をどんどん書き込んでいきました。
一般常識対策は範囲が広すぎ、予測が立てにくくて困りましたが、テキストの統計データ表や解説を読むほかに、なるべく新聞を読み、ニュースを見て「旬のトピック」をつかむようにしました。
社会科は、いずれの科目もテキストの1問1答を早い時期に解いておき、自分の弱点がどこかをつかんでから、勉強をすすめられるとよいと思います。(私は直前の総チェックという形でしか利用できませんでしたので、自省をこめてなのですが…)
本試験では、全く勉強していなかった地理の産業地図の問題にかなりの時間をとられましたが、はるか昔の小・中学校時代の地理の記憶を手繰り寄せ、新聞やニュースで見聞きしたことなどを総動員して、最後の最後まで諦めずに解答しました。社会科の試験では、本当に何が身を助けてくれるかわかりません。おそらく試験までの人生で経験してきたこと全ての知識が役立ちますので、できるだけ幅広く情報収集をされることをお勧めします。

私の場合は、過去に2次試験で何度も失敗し、トラウマになりかけていたので、2次試験対策が最大の難関でした。しかし、1次試験社会科地理の産業地図と歴史の近代史の問題が壊滅的な出来で、合格の確信が持てず、1次試験の合格発表までの間は全く力が入らなくて「のんびりモード」で過ごしていました。ですから、合格の祝電をいただいた時は、信じられないという思いと2次試験まであと3週間しかないというプレッシャーで顔がひきつりました。
大阪校の2次対策授業は日曜の3回(10月1回、11月2回)だけでしたので、東京校で毎日オプショナル授業を受けられる生徒さん達がうらやましいと思いながらも、残り2回の授業に集中することにしました。授業は、面接での心構えや答え方のコツの解説に始まり、各トピックについての内容理解と個々の意見発表、Pair Workでの練習、1日3回の模擬面接と各人への適切なアドバイスととても内容の濃いものでした。同じトピックでも、自分と違った視点の他の生徒さんの意見を聞くことは大変参考になりました。
模擬面接は、話し方や態度すべてをチェックされているという思いから極度の緊張状態で、はっきりいって毎回とても憂鬱でしたが、面接直後の先生の辛口かつ的確なアドバイスを毎回いただいて、徐々に言うべきことと言うべきでないこと(Be Concise!)の整理ができていったように思います。また、自分では気づいていない癖(私の場合は、瞬きが多くて面接者とのDirect Eye Contactがとれていない)を指摘していただいたのも大きな収穫でした。
これまでの2次試験の準備では、他の学校での対策授業にほとんど毎日のように出席していたため、英語を話す機会が毎日ないという不安感が常につきまといましたが、「1人でも話す練習はできる。ただし、家で黙ってテキストを読むばかりの勉強は全く効果がないし、今からでは遅すぎる。必ず声を出して練習するように」というブラウン先生の言葉を信じて、週日は自宅で、授業の準備と学習したことの整理と日本事象の暗記、1人での口頭練習に当てることにしました。
1人口頭練習は、反応してくれる相手がいないので最初は気恥ずかしいですが、我慢して、そこにいる相手に説明するつもりで練習しました。いざ1人で声に出して練習してみると、相手のフォローがないだけに、説明のあいまいな箇所や全く説明ができていない箇所では「いやーな沈黙」が流れます。この「いやーな沈黙」の箇所をテキスト等で確認し、できるだけ減らすように努めました。また、模範解答を全文覚えるのはとても無理だったので、簡潔に答えられるように、各質問について、頭の中で1〜3つのキーワードあるいはセンテンスの項目出しをするように心がけました。
結果的には、どれだけたくさんの情報を持っていても、質問をされた時に瞬時に情報を取り出し簡潔に説明できなければ意味がないので、自分の中の引き出しの整理の時間が取れたのがかえってよかったのかもしれません。
2次レポートは、本番の雰囲気をつかむために試験直前には最新版をインターネット上で何度も読み返しました。これは、試験直前の緊張をほぐす役割もしてくれました。
2次テキスト以外では、話すネタ探しに新聞の社説を読んだり、ニュースを見たりしました。午後11時のNHKラジオの英語ニュース(たいていはお風呂の中でしたが)も聞きました。最新ニュースでリスニング力強化ができる一石二鳥のお勧め番組です。
前述のメルマガ「1日1分!英字新聞」も授業で取り上げるトピックに関する英文表現を探したり、口ならし読んだりするのに活用しました。また、日本事象をビジュアルで捉えられるイラスト「日本まるごと事典」は、見ているだけでも楽しいのでお勧めです。ビジュアルで捉えらえたものは、記憶に残りやすく、説明するときも再生しやすいように思います。
本番の2次試験では、授業では取り上げなかった難しい質問(武士道の精神が現代社会でどのように受け継がれているか?)が出ましたし、やはり緊張してしまい、とても面接官から笑いが出るような雰囲気には持っていけなかったですが、2次対策授業と1人口頭練習を通じて、何を聞かれてもパニックに陥らず答えられるようにはなっていたようです。
とはいうものの、2次試験の直後は、ああすればよかった、これも言えたのにという後悔ばかりで(これまでの自己ワーストの出来だったと思っていた)、精神的にひどく落ち込みましたので、合格の祝電をいただいた時は全く信じられない思いで、合格通知が届いてもまだ半信半疑でした。

私の場合は、受験を決意してから合格までに飽きれるほど長い時間がかかってしまいましたので、あまり参考にはならないかもしれませんが、第1には、やはり地道にコツコツと努力することだと思います。短期間で合格できるのがもちろん理想ですが、短期間で合格できる人は、受験するまでにそれ相応の努力をしているのだと思います。
第2に、自分の学習の進捗状況を客観的に判断できる自己管理の力も大切ですね。私は、2次で敗退を繰り返す原因が自分では分からずずいぶん悩みました。今振り返ってみると、英会話サークルで話すこと自体には少し慣れていたので、そのことで安心してしまって、知念先生が2次試験の目標に掲げておられる「内容のあることをかいつまんで言えるぺらぺら族」と自分の力との距離を冷静に判断する力に欠けていたように思います。
この言葉を最初に読んだ時はまさに目から鱗でした。英語学習のみならず、まるで「人生を送る上での要領」を示唆しているような含蓄のある言葉で、合格した今でもこのレベルには程遠くまだまだ鍛錬が必要ですが、少しでも近づく努力をしていきたいです。
第3は、受験が長期にわたる場合のモティベーションの維持(自分との戦い)です。私は不合格の通知をもらう度にとても落ち込み、もうやめてしまおうと何度も思いましたが、倉木舞の“Stay by My Side”の「捨てない限り夢は逃げていかない」というフレーズを自分に言い聞かせて受験し続けました。 今、念願の合格通知を手にして、これまでの苦労が報われ、やはり諦めなくてよかったと思っています。

旧体制の試験で、1次試験はクリアするものの、2次試験で3回も敗退、また1次から受験を繰り返し、「もう永遠に受からないのでは・・・」と受験を続けるモティベーションが下がりきってしまっていたところに、富士アカデミーが大阪で開校すると聞いて、もう一度だけ挑戦してみようと思い、入学を決めました。以前から、試験場で配布されるパンフレットで目にする「少人数制」、「寺子屋風」、「アットホーム」の文句にとても惹かれていましたが、それに違わぬ魅力的な学校だったと思います。
まずは、やはり知念先生の優しくて誠実なお人柄でしょう。
知念先生の熱意あふれる授業は、お昼時間にずいぶん食い込み、終了時間も30分以上超過もしばしば、さらに、その後質問に答えてくださるというサービスぶりで、良心的過ぎてこちらが心配になるほどでした。
少人数制のため(大阪校は初年度で10名以下でした)、いつでも質問でき、希望が言いやすい雰囲気でしたし、その希望に極力応えて下さろうとする先生の姿勢にはいつも感心させられました。例えば、9月の授業で配布されるはずだった精読用英文の訳文を1次試験までに読みたいと言ったら、8月の最終週には送って下さいました。
知念先生の「この試験のためだけという狭い了見ではなく、英語の総合力の底上げをするつもりで臨んでください」とのお言葉は長期間にわたる勉強の支えとなり、試験までを緊張しすぎることなく過ごさせていただきました。また、「試験〜ヶ月前」「本番直前」とタイムリーに配布・郵送される「励ましの言葉」のプリントが不安を和らげてくれました。
単語コンテストでは、いつも出来の悪かった私は、とうとう一度も合格点の70点が取れませんでした。でも、先生は、ある日のコンテストで「これから本試験までに頑張ればいいんだから」と自らコンビニで調達された景品のシャープペンシルと消しゴムを私にも下さったのです。先生の優しいお気持ちが本当にうれしかったです。その日からこの2つの「受験生の商売道具」は私のお守りになり、本試験にももちろん持参しました。
直接授業とは関係ありませんが、東京と大阪の違いを再発見できた先生との「東西比較文化論的」情報交換は、毎回の授業のへの出席の楽しみでもありました。
2つ目は、教材の充実ぶりです。
1900を超える時事単語が収められている「必須時事単語集」は私が富士アカデミーに惹かれたもうひとつの理由です。時事単語は辞書に載っていないものが多く、自分で収集するのが難しいので、ずっと「核」になるテキストが欲しいと思っていました。これだけの単語が網羅されていれば、毎年本試験での時事単語の的中率がとても高いのもうなずけますし、学習後はこれだけやったんだという達成感がありました。このテキストは今後の英語学習のバイブルにしたいと思います。
試験の問題も出典の新しいものが多く、解説のプリント類も本当に親切で、毎回手作りの暖かさがにじみでていました。
1次・2次対策テキストの内容のすばらしさもさることながら、テキストの前文には試験の準備の仕方、受験の心構え、受験生への励ましの言葉などガイド試験情報が満載で、勉強方法に迷ったとき、試験前の不安なときには何度も読み返しました。
3つ目は、説明会とオリエンテーションが懇切丁寧であったことです。説明会では真剣ながらもほのぼのとした雰囲気が感じとられ、オリエンテーションでは1時間以上かけて、授業の説明だけでなく、具体的に試験までの自主学習の進め方まで解説してくださり、本当に生徒を大事にしてくれる学校だなと感じました。 というわけで、お勧めポイントは枚挙に暇がありません。本当に大阪校開校初年度にこの学校で学んで、合格できてよかったと思います。
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