学生時代、英語は私にとって得意科目ではありませんでした。ところが卒業して専門商社に入り、輸入の業務や、海外の商品を紹介する仕事に携わることになりました。顧客を案内して海外へ行く業務も発生し、英語は必須になってしまいました。10年ほどして退社後、再就職に挑戦したとき、ふと、自分の武器は英語を使って仕事をしてきたことぐらいしかない、ということに気がつきました。もっと真面目に勉強しておけばよかった、と思っても後の祭りです。これからすこしずつ、と思い直し、TOEICを受けたり、翻訳の勉強をしたりで牛歩状態であったとき、通訳・ガイド試験に挑戦してみようと思い立ったのです。
■英語
富士アカデミーを知ったのは、翻訳の勉強をしているときに知り合った友人を通してです。「富士はお勧めよ!」の言葉に授業を観に行くと、タイムやエコノミストなどの難しい文章が課題とされていることに驚きました。中に出てくる単語はわからないものばかり。やっぱり無理かなあ、と思いながらも、エコノミストが読めるようになるかもしれない? という甘い期待から、憧れ半分で勉強をスタートすることにしました。
実際にエコノミストの文章に対峙して感じたのは、まずは圧倒的な語彙力の不足です。それを補ってくれたのが、単熟語集と時事単語集でした。と書くのは簡単ですが、実際に、毎回先生にチェックを受ける箇所を覚えていくのは、もう、ほんとうにたいへんで、そのときは自分を「単語ノイローゼ」と称していました。単熟語集だけでも恐怖なのに、毎回の精読用英文・小テストに出てくるものも大量に調べなければなりません。嵐の中に身を置いてしまった、と思ったものです。それでも、毎回の予習は欠かさず、精読用英文はあらかじめノートに訳して授業に臨み、授業中はまちがっていたところに赤で書き込んで、模試の前には復習をしました。
こうして三ヶ月が過ぎたころ、ふと、前よりすこし楽になったかな? と感じることがありました。漠然とした感覚なのに、心躍る思いでした。
ただただ授業をこなしただけで、これほど短期間に力を実感できるとは。
富士の課題以外なにもしなかった(できなかった)けれど。
それまでの牛歩状態にはない、新鮮な驚きでした。
■社会
地理、日本史、一般常識、という高く連なる山々を前に、どうしよう、と途方にくれる方もいらっしゃると思います。私がまさにそれでした。大学受験は世界史を選択してしまった、せめてあの時日本史をやっていたら、と遥か昔のことを後悔したのです。
とりあえず、勉強は地理からスタートしました。まずは先生の指導に従って、白地図帳とテキストで国立公園・国定公園から覚え、それから付近の山・川・半島・湖などに勉強範囲を広げていきます。地図帳を眺め、心の中でその場所へ行ってみながら勉強すると、訪れたことのない場所でも親しみを感じます。駅にある無料の旅行会社のパンフレットをもらってきて、地図と一緒に眺めることもありました。付近に温泉があれば、気持ちだけ温泉につかってみましょう。英語でストレスが溜まったときは、お勧めの方法です。
日本史は、地理より苦労しました。先生お薦めの山川の教科書を読んでいると眠くなってしまうのです。想像力のない私は文字だけでは情報が頭に入らないのでしょう。そこで、富士の仲間に勧められた教育漫画シリーズを読むことにしました。小学館・集英社・学研など、図書館にそのときあるものから借りて、時代はバラバラに読んでみました。(これは、どれかひとつのシリーズを買って通しで読んだほうがよかったかもしれません。)それから、教科書を片手に、本屋で見つけた図説本を使いました。浜島書店の「新詳 日本史」という本で、図や写真、絵が圧倒的に多く、助かりました。この本で、過去問で頻出の仏教史や文化史を観ていきました。文化史は特に、写真や絵を通してイメージで覚えたほうが記憶に残ると思います。
一般常識対策としては、新聞をなるべく読むようにしました。実際の問題はクイズのようだった記憶があります。当てる、という気持ちで選択肢を選びました。
学校では1次試験が終わるとすぐに2次試験対策が始まります。合格してないから無駄かな、と思いながら授業に出ました。実際に参加してみると、ネイティブの先生と日本のことについて話し合うのは、とても楽しい経験でした。そして、その後思いがけず合格通知が届いたあと、たいへん役に立ちました。
本格的な2次対策では、Brown先生の授業がとても印象に残っています。
(1)答え+(2)理由+例 (3)答えは簡潔かつ短く (4)アイコンタクト (5)スマイル
などなど、箇条書きで大事なポイントを指摘してくださいました。内容は別にして、面接のポイントがわかった気がしました。そのあとの模擬面接では、具体的に「その答えはよくない、こうしなさい」という指示があり、ほんとうにありがたく感じました。これでいいのかなあ、と不安だった部分をきっぱりダメと言ってもらえると、迷いなく別の答えを準備できるのです。内容だけでなく、身振りや笑顔の注意もしてくださって、総合的に面倒をみていただいたことをとても感謝しています。
勉強を始めたときは、目の前の壁をどうやって乗り越えようか、途方にくれました。その後も何度か「もうやめたい」と思うときがあったのですが、そんなときはすこし楽しいこと(地図や写真で温泉地を眺めるなど)に取り掛かりました。それでもやる気が出なかったときは、近所の神社へ行ってみたり、東京にもある小さな温泉へ行ってみたりしました。富士の仲間に誘われて美術館へ行ったこともありました。つらいと思ってときは、ちょっとだけ気分転換をしてみてください。自分をなだめたり、励ましたりして、頑張ってみましょう!
まず、なにをどう勉強していいかをすべて教えていただいたので、足を向けて寝ることができません。
それから、精読用英文等の質の高い教材に取り組むことは、この試験対策だけでなく、英語の力を短期間でつけるコツだと思います。
そして最後に、くじけそうになったときに、知念先生が配ってくださった「励ましの言葉」に何度も助けられました。ありがとうございました。
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